2016年1月24日日曜日

押し手(おしで)407(ギックリ腰)

押し手(おしで)407
(ギックリ腰)

2016年1月24日(日曜日)

皆さんこんにちは、あすなろはり専門治療院水前寺と、才田鍼専門治療院の
オウシです。

最近、ギックリ腰の人が見えたので、皆さんに鍼の治療をご理解いただくために、
ここに、7 、8年前の資料を訂正して貼り付けてみます。
文章が固いのは、鍼の仲間に向けた文のためです。

     ギックリ腰(主に腰筋捻挫)について
20160124
 今回は、最近ギックリ腰の人が見えたので、7 、8年前の資料を、少し訂正
して、ここに掲載してみます。
文章は、鍼の仲間に向けて書いたので、やや固いが、そのまま、修正貼り付けを
してみます。

     ギックリ腰(主に腰筋捻挫)について
2016  1,24

 今回は、まず初めに鍼の臨床に必要と思われるその定義と、最低限度の分類と
に触れ、その後に鍼治療の実際に必要と思われることを述べてみたい。
   ・定義
 ギックリ腰とは、体動により急性発症する外傷腰痛の俗称である。
   ・分類とその特徴
1.疾患別分類
 腰筋筋膜症、髄核脱出、椎間関節症、棘間靭帯や棘上靭帯の損傷、仙腸関節捻
挫、腰椎骨折(主に2個ぐらいの横突起に同時に起こることが多い)
2.鍼治療時に必要な分類
 1)立位で体の後屈時に腰部又は下肢に運動痛または放散痛を感じるもの(以
下分類1と言う)
 2)立位での体前屈時に主に腰部に運動痛を感じるもの(以下分類2と言う)
分類1の特徴
 イ.疾患別分類で言う腰筋筋膜症及び仙腸関節捻挫以外の殆どのものが考えら
れる。
 ロ.浮腫や腫れや筋の過緊張が、どちらかというと脊中部及びその近くに現れ
る。
 ハ.例外を除いては、軽い物でも5,6回、臥床反転もできないような物は3
週間ぐらい治療を要することが多い。
分類2の特徴
 イ.疾患別分類に言う腰筋筋膜症が、その殆どである(棘間靭帯及び棘上靭帯
損傷その他も時々見られる)。
 ロ.筋の過緊張・浮腫・腫れが主に片側に見られることが多い
 ハ.治療回数は軽いものでは1回、臥床反転ができない物でも7から10回ぐ
らいと考えることができる。
 ニ.腰部の治療後、同側の下腿後側の緊張を緩める鍼、又は筋のストレッチを
行うと、更に効果が高くなる(腰筋筋膜症の場合は、下腿後側の前記操作だけで
も腰痛を取ることができる)。

   ・ギックリ腰が起こる背景
 下記の条件下での状態が続くとき、つまり腰部が突っ張っている時に、急激な
運動に腰筋がついて行けなくなって、本症が起こることが殆どである。
 1.宴会や接客が続くなど胃腸が無理をした場合、その後の数日間。
 2.風邪気味で腰にこりや突っ張りを起こしている時。
 3.いつもと違った作業をした後の数日間。

   ・鍼治療
 これを箇条書きで記してみる
 1.まず、胃腸の具合を整えるために、できる場合は仰臥位で、できない場合
(分類1の重症なもの)は側臥位で肋弓の上下部の刺鍼を行う。
 2.患側の鼠径節の刺鍼を行う(分類1の場合は両側)。
 3.分類1の場合は脊中部及びその周辺、分類2の場合は片側の罹患筋をその
周囲から所見に従って行う。
 4.分類2の場合は、一方、又は両側の下腿後側部に刺鍼(アキレス腱と筋腹
との移行部)、又はストレッチ(下腿後側全体)を行う。
 5.これらの治療後に、立位で体の前後屈を行ってみて、痛みが残っている部
に皮下鍼運動法(後述)を行う。そして痛みの部が変移していればここに更に同
法を行う。このようにして痛みの部が、あるいはその程度が変わらなくなるまで
同法を行う。

   ・皮下鍼運動法
 主に運動痛に効果が見られるもので、その方法は次の通りである。
 痛みの部を運動法で突き止める。この部を触診すると皮下に筋の繊維様の部分
的な突っ張りや、粒上の結合組織様の所見を触れることができる。この所見に対
して皮下まで刺鍼し、この鍼を押し手で指示したままで、患部の皮膚が最も動く
ような運動法を3回程度行う。
 この方法の注意点は、運動痛を感じない範囲で運動を行うことである。

   ・温灸
 ここで言う、分類2で用いる鍼治療の補助療法である。
 使用器具
 いろいろな温灸機があるが、用は、スイッチの操作でオンオフができて、続け
てスイッチをオンにすると、かなり熱さも得られる物であれば良い。近年、少し
しか暖かくならずに、用をなさない物が増えているので、購入時に注意が必要で
ある。
  温灸治療の実際
1.患者を腹臥位にする。
2.腰部の棘突起上または棘突起間を押してみて、骨に皮膚が押さえられるので
皮膚が骨と術者の手との間に挟まれて痛く感じる感じではなくて、押さえられた
その部が苦しくてこたえるという感じがする所を探して、そこと、その上下との
棘突起間または棘突起上に3箇所行う。
  壮数 1ヵ所に9壮〜15壮
  注意 1壮目はスイッチを押してから暫く時間がかかるので、短い時間で何
回もスイッチを押し、暖かさを患者が感じたら、声を出してもらう等の合図をし
てもらう。それから1壮、2壮と温灸を実際に行う。

   ・治療全般における注意点
 イ.分類1、及び2に掲げた治療経過を著しく越える物は、整形外科への紹介
を考慮する
 ロ.重症な物は、分類1と2との区別が初めはつかないので、治療を行ってい
る間に区別をつけるようにする。
 ハ.分類1の重症の場合には、しばしば排便が数日無いことがある。これは、
治療の経過が順調な場合には心配はいらないが、排尿が無い場合には、躊躇せず
にその患者の取扱いを外科に依頼する。
 ニ.分類2の特徴は、前記のように速やかに治癒することだが、患者の訴えで
ギックリ腰と言う物の中に、筋肉痛で治癒が遅い物がある。それで分類2の特徴
を示す物についても、「すぐ治ります」という安請け合いはしない方が賢明であ
る。
 ホ.次のことは、避けるようにする
   1.入浴は軽い物は1日、重い物は10日ぐらい
   2.坐位はたとえ5分間でも悪いので、なるべく取らないようにする
   3.電気治療・牽引・その他、物理的刺激は治癒するまで避ける
   4.アルコールは風呂と同じ期間避ける
   5.湿布薬は、風呂を避ける期間は冷たい物を使い、それを過ぎればこち
らから勧める必要はいらないが、患者が希望すれば温湿布を提案する。
終わり

では、また書きます。
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